年金ファンド、世界のランドグラブの主役へ

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Autor(a): GRAIN/CADE
Fecha: 15 julio 2011
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GRAIN/CADE | 15 julio 2011

GRAINサイト上の関連ページは以下の通りです。

 

年金ファンド、世界のランドグラブの主役へ

20116月、グレイン

大規模な農地買収により世界各地に紛争や論争が巻き起っています。 調査の数が増えるにつれ、これらのプロジェクトは地域社会に悪影響を与えるばかりか、世界の食料と環境に関して全く不適切な農業の形を促進して深刻な危機に陥れていることも分かってきました。1  それでも、相変わらず、ファンドは磁石に引きつけられるかのように外国の農地に押しかけています。みんなこれらの投資からリターンが期待できると説明され ているのです。農地に利益を求める者たちの中には、年金ファンドがいてその主役の一角を担っておりこの分野に数十億ドルを投資しているのです。

こ れらの年金ファンドは現在、23兆ドルの資産を動かしていますが、そのうちの1000億ドルはコモディティに投資しているようです。このコモディティへの 投資金額のうち50億〜150億ドルが農地の取得に向けられています。2015年までには、これらのコモディティと耕作可能地への投資は倍増するものと思 われます。

年金ファンドとはそもそも勤労者のために機能し、彼らに代わって退職に備えた貯蓄を後々まで守るものです。その目的だけであ れば、投資についての戦略や判断は、公の監督やその他の一定の規制を受けるべきです。言い換えれば、年金ファンドでは、自分たちのお金の運用の問題である ことをいい口実にして、みんなのお金でランドグラブ(農地収奪)に他に先んじて投資できるという恐らくこれまでにない類のファンドです。このため、年金 ファンドは、社会運動、労働組合や市民団体にとっての特別な関心の的になっています。

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年金の規模と影響力

今 日の年金は、多くの場合、労働組合、政府、個人、雇用主に代わる民間企業によって運用されています。これらの企業は、勤労者が定年退職すればその貯蓄分が 彼らに毎月支払われるよう、皆さんがその年金のために貯蓄しているお金を守り、"増やす"必要があります。仕事があって、退職後のために多少は振り向けら れる幸運な人たちは、皆、おそらく何らかの企業によって運営されている年金を所持しています。世界全体ではこれは膨大なお金になります。年金ファンドは現 在、23兆ドルの資産を動かしています。2 世界最大の年金ファンドは、日本、ノルウェー、オランダ、韓国そして米国(1を参照)といった政府の手中にあります。

1:世界の上位20の年金ファンド(2010

ランク

ファンド

総資産(百万ドル)

1

政府年金投資

日本

1,315,071

2

政府年金ファンド - グローバル

ノルウェー

475,859

3

ABP

オランダ

299,873

4

国民年金

韓国

234,946

5

連邦政府退職貯蓄貸付組合

米国

234,404

6

カリフォルニア州公務員

米国

198,765

7

地方自治体職員

日本

164,510

8

カリフォルニア州立教師

米国

130,461

9

ニューヨーク州共通

米国

125,692

10

PFZW(現PGGM)

オランダ

123,390

11

中央積立基金

シンガポール

122,497

12

カナダ年金

カナダ

122,067

13

フロリダ州委員会

米国

114,663

14

国家社会保障

中国

113,716

15

年金ファンド連合会

日本

113,364

16

ATP

デンマーク

111,887

17

ニューヨーク市退職積立

米国

111,669

18

FPEG

南アフリカ

110,976

19

従業員積立基金

マレーシア

109,002

20

ゼネラルモーターズ

米国

99,200

出典:ペンションインベストメンツ 201096P&I /ワトソン世界タワーズ300

年 金は、特に、欧米諸国において、機関により運用されるにせよ或いは個人の手中にある年金勘定の問題であるにせよ、直近の金融危機によって相当ひどい影響を 受けました。このため、年金制度の積立基金やマネージャーは、それぞれのクライアントのために長期の保有に組み直そうとしています。農地は、彼らにとり非 常に魅力的な問題です。この農地の場合には、必要なリソースは限られているのに増える世界人口を養わなくてはならないため、彼らは、これらの農地は、人口 に応じて成長する良好な「ファンダメンタルズ」と呼ぶ需要と供給の分かり易い経済モデルであるものと理解しています。 これらのファンドのマネージャーた ちは、オーストラリア、スーダン、ウルグアイ、ロシア、ザンビア、ブラジルなどの国々において土地価格が比較的安いと思っています。彼らは、これらの価格 が(大きなのは賃金 )がインフレペースとなっているにもかかわらず、彼らの投資ポートフォリオのコモディティはそれほどではないために多様な収入増がもたらされているものと 考えています。彼らは、農地価値の上昇とその間の収穫作物、多くの牛や食肉製品の販売から生じるキャッシュフローの中に長期的な利益を見出しているので す。みなさんでも、もし、30年後に勤労者に支払わなくてはならない金銭を手にしたことを思えば、そのロジックは理解できるでしょう。

これらのファンドにこのような重大な役割を与える要因の一つはスケールです。年金ファンドが、食料と農地を含むコモディティへの投資を開始したのは最近のことにしか過ぎません。3 現在の状況を考えると、一次産品の価格が食料品と同様にとても大きく上昇しており(1を参照)、農業は機関投資家にとり利益の源泉であることには間違いがありません。4

1:農業で金儲け - 商品取引所における取引の急増(左)と食料品価格高騰(右)

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出典:国際決済銀行(G)と国連食糧農業機関(D

バー クレイズキャピタルによると、機関ファンドの一次産品への投資は十数年前には60億ドルに過ぎなかったのに現在では約3200億ドルにもなっています。 ヘッジファンドはさらに600億〜1000億ドル多くなっています。これらの数字は、今後数年間で倍増すると予想されています。5

これには、年金ファンドが一般コモディティ分野(上記の3200億ドルのうち1,000億ドル)並びに特に農地の分野で共に最大の機関投資家である限りという含みがあります。6 業界の多くの調査によると、年金ファンドのマネージャーたちは、その投資リターンが10〜20%に達しうるというまたとない新たな資産水準にある農地への投資に懸命になっています。7  この3年間にロンドンやニューヨークを経由してチューリッヒからシンガポールへと言った具合に豪華ホテルで開催された農業投資促進を目的とした派手なセミ ナーにちょっとでも参加した人たちであればこのことには驚かないでしょう。例えば、先月マンハッタンのウォルドーフ・アストリアで開催された世界投資会議 を例に取りましょう。この会議は、ブンゲ社からドイツ銀行にいたるまで約600名の投資家を引き寄せました。全体で、このグループは、世界中で108億ド ルを占めます。これらの投資家は今後3年間にわたり181億ドル(67%増)になるまで自分たちの保有分を増やしていく計画です。農地がこれらの企業の買 収戦略の中心となっていることが多いのです。これらのほぼ3分の1(30%)近くが年金ファンドでした。

今日、このような農地などのコモディティは、平均して、年金ファンドのポートフォリオの1~3%を占めています。8 しかし、これから2015年までに実際に行われる戦略的な意思決定によってこの数字は3〜5%にまで上昇して「最高値」は更新されるものと見られています。9

1 とか3とか、5%といった数字は非常に小さく見えるかもしれませんが、我々はわずか1%でも数十億ドルに相当しうる膨大な資金を扱わなくてはならないので す。表2は、さらに一歩詳しく年金ファンドが提示する農地への投資ポートフォリオに関する事例につきいくつか確認を試みたものです。しかし、ご多分にもれ ず、はっきりしたデータは殆どなくその入手も簡単ではありません。

2:農地に投資する年金ファンドの例(2010-2011年)

ファンド

運用資産総額

農地の全体投資に占める割合.(左記に占める割合)

プロジェクトの現在の状況

AP2(第二スウェーデン国民年金ファンド)

2,200億スウェーデンクローネ[346億ドル]

米国、オーストラリア、ブラジルにおける穀物用地に5億ドル(1.4%)

TIAA - CREFとの提携関係が予定されている。最初の農地進出は、2010年にさかのぼる。

APG(国家公務員年金ファンドの運用)、オランダ

2,200億ユーロ
[ 3,140億ドル]

10億ユーロ

0.5%)
[14億ドル]

増加を予想

アセンションヘルス、USA

150億ドル

最大11億ドル(7.5%目標)

実質資産の7.5%の目標を達成するために、初めて農地に投資するものの、現在は未達成のまま

カルパース(カリフォルニア州公務員退職年金)、USA

2,314億ドル

約5,000万ドル(0.2%)について:
-ブラックアースファーミングに120万ドルを直接投資
: 4,750万ドルはゴールデンアグリソース、インドフード、IOIコープ、Olam、サイムダービー、ウィルマーといった世界中に巨大な持ち分の農地を有するアグリビジネス会社に投資、

現状

ダウケミカル、米国

 

数字不明

農地は、最近追加された。米国保有分につき目標年間リターン:8~12%

ニュージーランド老齢退職年金ファンド

174.3億ニュージランドドル
[142億米ドル]

500万ニュージーランドドル(3%)
[4.07億米ドル]

3%の割り当ては、ファンドの戦略的な意思決定。 国有地の最初の購入が始まったので、海外での農業保有が続くことになろう。

全国教員ファンド(CalSTRS?)米国

 

米国 5億ドル

-10億

 

PGGM(介護福祉年金ファンド)、
オランダ

900億ユーロ
[1280億米ドル]

数字不明

2011年に農地への割り当てを増やす可能性あり

PKA(年金生活ファンド)、デンマーク

250億米ドル

3.7億米ドル(1.5%)

2012年4月まで。2011年6月に主にザンビアを対象としたシルバーランズファンドルクセンブルク(シルバーストリートキャピタル)に5000万ドルの投資が初めて行われた。

某国政府職員年金ファンド"

 

20~50億米ドル

近く予定

ソノマ郡退職システム協会、米国

   

UBSのアグリベストファームランドファンドに3%割当を予定。

TIAA - CREF(教職員保険年金連合会 - 大学年金株式基金)、米国

4,260億ドル

北米、南米、オーストラリアや東欧の400農場で20億米ドル(0.5%)

現在の状況。10%の年間リターンを約定。

これらを厳しく非難しよう

大方、私たちには次のことが分かっています。

  • 最大級の機関投資家たちは耕作可能地を含む農業関連コモディティへの投資を倍増する予定でいる。
  • 彼らはこの投資をとても迅速に実施するものと想定される。
  • このとてつもなく多額の新たな出資によって、食料品価格は世界中で再び上昇する。
  • 食料品価格の高騰で、貧しい地域社会、農村そして勤労者階級が思い切り手痛い打撃を受けることになろう。

年 金ファンド自体のマネージャーを動かすことはおそらくそう簡単ではないでしょう。つまるところ、彼らは委託された資金を使ってお金を稼ぎ自らの本来の役割 を忘れるないくことしか念頭にないのです。しかし、従業員の社会福祉を担当する組合や組織、年金ファンドの管理者、政府そして、投資や年金を充実させる方 法に関係する戦略決定を担当する人たちに、農地や農業関連コモディティへの投資を止めてもらえると同時に止めてもらうよう彼らを説得するべきです。

米国では、ワシントン政策研究所(IPS)のサラアンダーソンが語る最近の成果が良い例となります。

家 族農家、教会グループや飢餓撲滅協会の連合だけでなく、業界団体も一緒に、投資家たちがコモディティ・インデックス・ファンドから手を引くよう説得に向け たキャンペーンを開始しています。彼らの最初のターゲットは、コモディティにそのポートフォリオの25億ドルを振り込む予定でいたカリフォルニア州教師年 金制度CalSTRSです。 ボイコット運動に続いて、この組織では、18ヶ月間にわたり農業資材に1億5,000万ドルしか投資せずに、潜在的な問題の 調査を継続する予定になっています。10

こ の種の投資抑制キャンペーンでは、年金ファンドが海外で農地を購入しないことを確実にすることがその目的になり得るので、明らかに皆の手に届くところに あって大きな意味があるものと期待できます。同時に、これらによって、多くの国を目覚めさせて重要な2つの現実、すなわち、革新的な投資戦略と一般的な年 金制度との両立を必要とする食料農業政策に関して再考を促すことに全体的な弾みをつける可能性があります。これらの利害関係は私たちにはとても荷が重すぎ てこれらのチャンスを掴め切れません。

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追加情報

ウェブサイトFarmlandgrab.orgは、農地購入に利用される年金ファンドに関する記事やニュースを定期的に発行しています。より詳しく考察を行うにはhttp://farmlandgrab.org/search?query=pension+fund&sort_order=dateを参照してください。また、現在の食糧危機の背景にある、一斉に殺到にする農地支配に反発する人々への接触の様子やその体験についての証言も提供されています。

2011年4月に世界銀行の土地問題についての会議におけるTIAA - CREFのホセ・ミナヤのプレゼンテーションを見るには:http://vimeo.com/23314644

1 イギリス、サセックス大学、開発研究所で2011年4月6日から8日開催された世界規模での、ランドグラブに関する国際会議の文書を参照してください。

http://を.future-agricultures.org/index.php?option= com_content&view=category&layout=blog&id=1547&Itemid=978

ガーディアン紙に関するジョンヴィダルのレポート記事も参照してください。(http://www.guardian.co.uk/world/2011/mar/21/ethiopia-centre-global-farmland-rush);

フィルムアレクシス/マランさんの映画、「セール中の惑星」(http://farmlandgrab.org/post/view/18483);オークランド研究所のアフリカでの土地契約に関する調査(http://media.oaklandinstitute.org/land-deals-africa);2011年2月の世界社会フォーラムの参加者が執筆し、2011年6月にG20農業大臣たちに提出したランドグラブに反対するダカール要請(http://viacampesina.org/fr/index.php?option=com_content&view=article&id=606:g20-agriculture-non-a-laccaparement-alimen)並びに、2011年4月にラヴィアカンペシナ、FIAN、LRAN、WFFそしてGRAIN によって発せられた「信頼できる」とされる農地への投資に対する共同宣言(http://www.grain.org/nfg/?id=767)。

2 政府系ファンドは、比較してみるにおよそ4兆ドルの資産を持っています。

3 コモディティは、バルクで売買されている基礎的な商品とサービスであって、石油、金、米、コーヒー、銅またはビーフといったものです。「基礎的」とはそれ らが他の財やその他のサービスを提供するための原料として利用できることを意味します。また、「バルクで」とは、任意の物品が均一性の高いレベルを示すと 同時に多様な産地から来る可能性のある物品であることを意味します。それ故、1袋の米や1バレルの石油には、それらが同一の基本的な特性を持つ限り、複数 の畑からとれるコメあるいは複数のポンプからくる石油を含めることができます。スイス政府向けに作成されたオンバリューインベストメントストラテジ―アン ドリサーチ社による最近のレポートの中で利用されている分類によると、コモディティは先物契約、現物仕入品、(土地といった)「実在」資産と呼ぶもの、そ して、生産財を所有する会社における利益配分の取得の形で取引されることが多いです。

Ivo Knoepfe、「責任のもてるコモディティ投資:機関投資家にとり問題となる争点と潜在的な役割」:スイス連邦、PRI並びにグローバルコンパクトの共同実施プロジェクト、チューリッヒ、2011年1月、3頁:(英語版はhttp://farmlandgrab.org/post/view/18339で入手可能)を参照して下さい。

4 一部の人たちがそのことをどんなに否定し続けようとも、投資銀行家から市民社会組織(CSO)に至るまでの多くの人々が、特に、2008年の金融崩壊から ずっと現在に至るまでコモディティへの投資家たちが価格高騰を煽っている実際のやり方を取り上げて明らかにしました。

この問題に関してCSOが実施した比較的にアクセス可能な最近の分析の中で、「世界開発運動」の食糧投機に関する出版物(http://www.wdm.org.uk/food-speculation)並びに、オックスファムの耕作キャンペーンのために用意された資料(http://www.oxfam.org/fr/cultivons/dashboard)を参照してください。

5     Ivo Knoepfel、前掲書、P. 2 を参照してください。]

6 同上, 6ページ。

7 これらの土地契約の多くは、経済学で理解されている生産的な投資ではありません。そうではなく、これらは年金の形の資本についてリターンを生みだすように 充当された金融プロジェクトなのです。英国、サセックス大学、開発研究所で、2011年4月6-8日に開催された世界規模のランドグラブに関する国際会議 で発表された英語論文のヒューバート・コシェとミシェル・メルレの分析、「農地のランドグラブとその付加価値の分配:再来した土地貸出詐欺」、を参照して ください。http://www.future-agricultures.org/index.php?option=com_docman&task=doc_download&gid=1174&Itemid=971

8 最大級ファンドの一部ではそのポートフォリオの7%までがコモディティに充当されました。

9     Knoepfel、前掲書、p. 14。

10 サラ・アンダーソン、「食料をポーカーチップにしてはならない」 IPS、ワシントンDC、2010年11月15日http://www.ips-dc.org/articles/food_shouldnt_be_a_poker_chip。詳細については、「飢餓を投機の対象にするのは止めよう」を参照して下さい。http://stopgamblingonhunger.com/?page_id=838(CalSTRSとの対話)。

 

http://landgrab-japan.blogspot.com/2011/07/blog-post_15.html

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